猿猴捉月

すでに200アクセスを超えた。わずか2日で、である。バナシさんパワーを思い知ると同時に、戦慄を抱く。

せっかくアクセス数が激増したにもかかわらず、未だに小説をアップできなくて非常に申し訳ない気持ちになる。だからちょっとした小話をここに上げる。

すでに共生舎でも数人には話した。わりとウケは良かった。



猿猴捉月」という四字熟語がある。
これは訓読すると、「猿猴(えんこう)、月を捉(とら)う」になる。昔、サルが池に映った月を手に入れたいと思い、木の枝から手を伸ばすも、枝が折れて池に落ちておぼれ死んだという故事を元にした語である。「身の程にあわないモノを求めれば痛い目に合う」くらいの意味だ。

私は、この言葉が好きだ。

急に話を変えるが、青いバラ(ブルーローズ)の花言葉をご存じだろうか。かつては存在しないモノの代表格であり、その花言葉は「不可能」だった。しかし日本企業のサントリーが2004年に遺伝子組み換え技術によって作り出し、現実に存在するモノになる。花言葉は「不可能」から「夢かなう」に変わった。

 

花言葉が時代に合わせて変化するなら、四字熟語だって変化してもいい。だってサルは月に手が届いたのだから。

 

1969年。アポロ11号は月面着陸を果たした。人とてサルの一種だと言えば、サルが月に行ったと表現しても良いだろう。サルは月に手が届いた。翼すら持たず、空を飛ぶことも独力ではかなわず、地を這うくらいしかできない我々人類は、努力と技術によって月にたどり着いた。不可能を可能にした。

 

サルのくせに月に手を伸ばすなんて、と笑う者が月に届くことはない。身の程をわきまえない、愚かなサルが努力を重ねることで手が届く。夢を抱かない者が夢をかなえることは無い。たとえ笑われても、バカにされても、夢を追った者のみが夢に届く。

 

今や「猿猴捉月」は、「愚直に夢を追えばそれは叶う」という意味になった――と、私は思っている。この広い世界中で、私だけがそう思っている。きっと、私だけの言葉。

私は、この言葉が好きだ。