未科学について――ニートリノ野菜

今書いている小説が超能力モノであり、それについて日夜検索をかけては勉強している。化学や物理学は苦手だ。個人的にはまだ生物学の方が血が通っている分親しみやすく感じる。

超能力は「超心理学」分野の研究者が日夜研究している。オカルトではないのだ。科学なのだ。でもちゃんと実証できてないからよくわからない科学だ。そういうのを未科学というらしい。まだ科学になり切れてない科学。それが未科学だ。

未科学といえば、日本でマイナスイオンが大流行りした時代があった。ドライヤーとか扇風機とかからマイナスイオンが出て、何か健康に良いらしい。マイナスイオンとは負の電荷を持つ分子全般のことだが、ではどの分子のことを健康に良いマイナスイオンと呼ぶのか。水分子か? 帯電している分子が健康に良い理由が個人的によくわからない。滝のそばマイナスイオンがいっぱいあるらしいけど、じゃあなんでそのマイナスイオンがドライヤーから出せるのかもわからない。水分子に電気通して帯電させてる? ありがたみが無いなあ……ああいうの、わからないだらけだ。

今は水素水なんかも有名である。効能があるんだかないんだか。そもそも水素を水にとどめておくのが難しいとか。これについてもよくわからない。ただ水素は活性酸素対策になることは確かだとか。でもそれが水素水からきちんと効能を得られることと直結しない。個人的に水素水はグレー。ただ水素水について調べると、「溶かすだけで水素水になる☆個体水素パウダー」とかが出てきて脳みそが病みそうになる。個体水素ってなんだ。水素の個体ってなんだ。常温で存在し得るのかそれは。

山奥で話題なのが、グラビトン野菜。これは我々共生舎でも作りたいと一時期ホットな話題だった。もはや未科学というより超科学である。なんか重力波を浴びせてできた野菜? なのだろうか。今調べてもその情報元が消されたのか出てこない。ただグラビトンセラミックなる重力波を発するセラミックは未だに売られている。説明によると重力波は大気中の負の電荷を消すらしい。言ってみればマイナスイオンキラーである。もう何もわからない。結局マイナスイオンは身体に悪いのだろうか。

マイナスイオンとか水素水とかグラビトンセラミックがあるなら超能力もあっていいと思う。何ならUMAとか妖怪とかもいていい。山奥ニートもいて良い。それぐらいの存在を許容できるだけの余裕が、私の棲む国にはある。明日食べるものに困るような国ではグラビトン野菜は存在しえない。余裕って大事だ。山奥ニートは無駄に余裕だけは売るほどあるので、なおそう思う。

素粒子ニートリノを付与したニートリノ野菜とか売れないだろうか。効能は、なんか肩から力が抜けて、悩み事とかがどうでもよくなる。出所不明の謎の余裕を持てる。疲れたOLとかにおすすめ。素粒子ニートリノは山奥ニートから発せられる。だから山奥ニートが育てた野菜はすべからくニートリノ野菜だ。なお効果に個人差はあるし科学的検証もないしニートリノなんて素粒子存在しないと思うけど、まあプラシーボ効果だけは見込める。イワシの頭も信心から、だ。

ニートリノ野菜、グラビトン野菜よりはマシだと思うけどなあ。共生舎で生きている私たちは、実際、肩から力を抜いた生活してるわけだし。