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もともと超能力が使えた俺だけど、異世界に転生してみたらすっげえ無双できたwww1

 深夜。

 ざあざあ降りの雨の中、俺は走っていた。

 いくつもの雨粒が容赦なく顔を打っていた。服はぐっしょり濡れていたが、何も気にならなかった。そんなものを気にしていられる余裕が、俺にはなかった。

 どこに向かっているのか、俺にもわからなかった。俺は知らない街を闇雲に駆けていた。ただ目指すべき場所の候補はいくつか頭の中にあった。いずれ辿り着くはずだと思った。

 追手に捕まらずに逃げきれれば、だが。

 すでに二人、殺した。

 片方は俺の肩をつかんできたから殺した。もう片方は突然に進行方向の路地裏から飛び出してきたから殺した。もしかすると、どちらも追手ではなかったかもしれなかった。

 追手かどうかはどうでもよかった。逃げるのに邪魔だったから殺した。

 たぶんここは住宅街なのだろう。こじんまりとした家々が立ち並ぶ中、右手の住宅の向こうから、音が聞こえてきた。

 カン、カン、カン、カン、カン、カン、カン、カン――。

 踏切の警告音だ。俺は喜びの声をあげたくなるのをグッとこらえた。

 俺は路地を曲がった。

 線路沿いの道に出た。等間隔で電灯が立ち、さっきまでよりも明るい道だった。この道では追手に見つかりやすいと思った。すでに踏切の遮断機は下に降り切っていた。

 足を止めて、周囲を見渡す。何の気配はない。

 俺は躊躇なく遮断機をくぐって線路内に侵入する。

 線路内は当然のように誰もいなかった。目にはいるモノ全てが俺を祝福しているように見えた。もはや俺の勝ちはゆらぎないように思えた。

 カン、カン、カン、カン、カン、カン、カン、カン――。
 雨脚が強まっていた。この豪雨の中では、さぞ電車の運転士も視界が悪かろう。

 俺は線路に横たわる。心臓の上を車輪が轢いて死ねるように、位置を微調整する。

 線路が震えるのがわかる。俺の身体の震えではない。しとどに濡れた体は、驚くほどに熱くなっていた。さんざん走ってきたのと、興奮とがないまぜになった熱だ。俺は息をゆっくり吐きだした。

 カン、カン、カン、カン、カン、カン、カン、カン――。

 俺は、俺以外の連中のことを思い浮かべた。走っている間は欠片も思い出さなかった。やっとのことで勝利条件を満たし、余裕が生まれた証拠だろう。

 あいつらも――ちゃんと死ねただろうか。

 俺は噛みしめるように、ゆっくりと目を閉じた。線路から感じる振動が大きい。もう近いはずだった。

 強烈な光を、まぶたに感じた。

 特急列車がやってきて、俺の身体を轢断した。