共生舎俳句部「母の日の句」
G先生が決めた母の日のテーマで俳句を募った。
共生舎ではもはや俳句部でない人の方が少数派である。やはり山奥では風雅な人間が多い。
母の日に関しない句も混ざっている。それはそれでいい。厳しいルールとは無縁の共生舎である。
注釈が無ければ、基本的にコメントは作者からのものである。
【作者:Φ梨】
・素麺を
啜って気付く
母の日と
コメント:75点。
・安下宿
訪ねて去りし
雀蜂
コメント:85点。
・夕影や
後ろ手に
コメント:秋雷との合作。70点。
・目が覚めて
蹴られた布団
五月晴れ
コメント:魚芽氏の句の編句。70点。
【作者:秋雷】
・母の日や
母という字を
丸く書き
コメント:母に手紙を書くも、母という字が角張っているように見えて書き直す。
・母の日や
カレー煮込む手
絆創膏
コメント:包丁を握り慣れていないからこうなるのである。
・母の日や
カレンダーを
にらむ猫
コメント:猫も母の日を気にしているだろうか。それとも猫とは。
・後ろ手の
素直たれ
コメント:素直に渡すことが一番難しい
・母の日に
にぎりしめ
コメント:こどもがぎゅっと手にお金をにぎって花屋にいく様
・朝起きる
前に布団が
逃げにけり
コメント:最近の布団はよく逃げるものだ。
【作者:VV】
・母の日に
空見て思う
せつなさや
コメント:自分の見上げるこの空を、母も見ているのだろうかと思うと、急に郷愁の意にかられる。(秋雷解説)
・母の日に
思い返すは
夕日道
コメント:さんざん遊んだ帰り道、母と手をつないで歩く記憶。今となっては思い出の中だけの 情景である。(秋雷解説)
【作者:魚芽】
・母の日に
ホットケーキ
おこげつき
・皿洗い
母の日と気づき
いそいそと
・朝起きて
布団吹っ飛び
衣更え
【作者:孫鶴】
・晴れた日に
孫にもらった
・母の日に
孫と一緒に
皿洗い
・母の日に
悪戦苦闘の
父と僕
・山奥で
仲間とはしゃぐ
川遊び
【作者:歩々】
・早桜
携帯片手に
下見する
・母の日に
子の成長を
かいま見る
悔やむ気持ちに
母がいる
・母の日に
縮む背中を
慈しむ
・列つくり
眺めみる
・母の日に
花束差し出す
小さな手
【作者:寝夢】
・母の日に
伝えられない
この想い
【よみひとしらず】
・母の日や
硬貨の温度
ラッピング
【編者評】
よみひとしらずまで合わせれば、計8名から27句もの俳句を募れた。なかなかの戦果ではなかろうか。前回とのやる気の温度差の激しさが目立った。
内容に触れる。童心に帰る句が多い印象を受ける。中でも魚芽氏のかわいらしい感性が光った。そんな中、あえて孫鶴氏は祖母の目線に立って句を詠み、発想の柔軟さを感じる。歩々氏はしゃれっ気の効いた句が中々に憎い。寝夢氏の句からは素直さを感じる。
前回から参加している三名はさすがの貫禄でなかろうか。
とかく、「こいのぼりの句」の時とは全体的にレベルアップしているように感じる。これからも句会を行うことで風雅さを高めていきたい。
次回のテーマはΦ梨先生が「梅雨」に決めた。雨の中でおこなう句会もまた一興。今から楽しみである。
五月十三日。秋雷。