共生舎俳句部「梅雨の句」
Φ梨先生が決めた「梅雨」のテーマで俳句を募った。山奥ニートの割に参加者が忙しく、俳句会を開けない状態であったために参加者が若干少ない。しかし質自体は上がっているのではないかと思う。
あと、以前までは上五、中七、下五で改行していたが、それを今回から無くした。俳句は韻文詩である。無理に改行を入れることでリズムを演出しているのは、句本来が持つリズム感を軽視している結果になるのではないか、と思った。少し読みづらくなるかもしれないがご容赦いただきたい。
【作者:秋雷】
・きちきちの二匹並びて雨宿り
コメント:きちきちとはバッタのこと。軒先の雨の濡れないところに仲睦まじく並んだバッタを詠った句。
コメント:きちきちとはバッタのこと。軒先の雨の濡れないところに仲睦まじく並んだバッタを詠った句。
・機関砲染みる夏雨傘を撃つ
コメント:やや表現が紋切り型すぎたか。もうちょっと手直しして出したい。
・オニリムの札も湿気りき夏時雨
コメント:オニリムとはアナログゲームの一種。共生舎ならではの句。
・白牡丹の首大雨に頷く
コメント:かなり大胆な句またがり。句自体のリズム感を崩すことで不規則に揺れる白牡丹を表したかった。
・スポンジのごとく夕立吸う我が身
コメント:川柳に近い。水を吸うではなく夕立を吸うとするあたりに季語の働きを期待する。
・雨上がり蚯蚓干上がる土の道
コメント:下五が微妙か。もう少し該当する語を考えたい。
・頭蓋骨穿つつもりか大驟雨
コメント:これも川柳に近い。どうも自分はまだ季語の働きを理解していない。
・フロイトや栞挟むも梅雨止まず
コメント:フロイトに切字をおいた大胆さ。
・梅雨冷えや湿気た布団で籠城し
コメント:ユーモラスに重きを置いた。というか自分は布団の句が大好きだなと思う。
【作者:VV】
・ガンジス川流れて滴る梅雨の空
コメント:梅雨の休日。憂鬱な気分でいたものの、インドを紹介した番組を見つけて心動かす。この梅雨の雨も、あの雄大なガンジス川から滴った水が蒸発し、大陸を超えてやってきたものだと思えば、何だかありがたみが出る。新たな梅雨の楽しみ方を見つけたと同時に、少しユーモラスでありながら旅情すら感じさせる名句である。(解説:秋雷)
・足元に虫が這いよる梅雨の夜
コメント:しとしとと雨が降る晩。この句の詠み手に何かあったのだろうか、軒下なり縁側なりで物思いにふける。ふと気づくと足元に虫一匹地を這うのを見つけ、虫くらいしかそばにいない雨夜の孤独さを一層感じる。眠りにもつかず、彼は何を思っているのだろうか。男の哀愁漂うアダルトな句である。(解説:秋雷)
・軒先で君と挨拶梅雨の朝
コメント:いつもの朝なら家の敷地に入ったくらいの距離でしかない「君」。だが、雨が降る梅雨の朝は別だ。傘を折りたたむには軒先まで来なければならず、「君」との距離はいっそう近くなる。すこしドギマギしつつも、平静を装ってあいさつを交わす。本来憂鬱な梅雨の朝も、中々いいものだ、なんて思う。そんな青春の1ページを17音で描きとった心憎い作品。(解説:秋雷)
コメント:いつもの朝なら家の敷地に入ったくらいの距離でしかない「君」。だが、雨が降る梅雨の朝は別だ。傘を折りたたむには軒先まで来なければならず、「君」との距離はいっそう近くなる。すこしドギマギしつつも、平静を装ってあいさつを交わす。本来憂鬱な梅雨の朝も、中々いいものだ、なんて思う。そんな青春の1ページを17音で描きとった心憎い作品。(解説:秋雷)
【作者:魚芽】
・晴れの日に急いで洗濯回す梅雨
・眠れずに朝夜の狭間に蛙鳴く
・道の脇草木沸き立つ五月晴れ
【作者:歩々】
・梅雨明けに俯く傘と君と僕
【作者:ヨシ】
・降る里に集いし我ら衣替え
・虫の音も届かぬフロー大三元
・夏草に負けぬな若人球を追え
・鉤括弧付きの忙しさ梅雨に入る
・向かって来い子鹿よ脚を引きずりて
・銀蠅がメメントモリと騒ぎけり
・梅雨入りや布団と我をうなだらせ
【編者評】
5名から24句を収集できた。人数は減ったものの句数自体はやや減った程度である。まあまあの戦果ではなかろうか。
5名から24句を収集できた。人数は減ったものの句数自体はやや減った程度である。まあまあの戦果ではなかろうか。
初登場のヨシさんの句の秀逸さが目を引く。実生活に寄り添った句でありながらその背景に思いを馳せられる手法は、さすがであると言うよりほかにない。他のメンバーが上達していく中、どうも自分の句の稚拙さが目につき、恥じ入るばかりである。次回はリベンジしたい。
次回のテーマは季節を先どって「七夕」にしようと思う。山奥ニートは星の下で何を願うだろうか。どんな句ができるか、今から期待でいっぱいである。
六月十日。秋雷。
次回のテーマは季節を先どって「七夕」にしようと思う。山奥ニートは星の下で何を願うだろうか。どんな句ができるか、今から期待でいっぱいである。
六月十日。秋雷。