十月の掲載句

・冷まじき部屋が匣なら人は水

 

・雪迎えメランコリーの風赤く

 

・秋寂ぶは人里山は賑ははし

 

・三日月やイツマデモ不完全ノ人

 

・秋月の風に撃たれり草と人

 

・月落ちて池のぽちゃんと鳴きにけり

 

・秋は人誑かしけり夜白む

 

・朝ぼらけ我を食いける霧襖

 

・女郎花何と云おうか思案せり

 

・腕時計ピコと鳴きけり秋の朝 

 

・夕月夜背にし囁く君の貌

 

・秋茄子や人褒める人になりたし

 

・残暑尾を引きつ行きては戻りけり

 

・秋の闇に響くサウンド宴かな

 

・知らぬ人も息をするなり秋月夜

 

・蟷螂鳴いて威せり夜の灯り

 

・そぞろ寒人間のまま猫になり

 

・明日からはと言う醜さ残る虫

 

・つと見ればぶつかってくる秋茜

 

・秋雨連なって川忙しけり

 

・台風を頭痛で悟るメランコリ

 

・秋雨やホテルのL型の小部屋

 

・台風裡絶望の字の薄っぺら

 

・台風過の蹴散らかして空高し

 

・殺人を仄めかしける秋の月

 

・真っ黒から三日月を切り取っただけ

 

・秋晴れや悩む心も色無くし

 

・秋の夕朱と藍の子は黄色かな

 

・秋と呟いてみれども時は経ち

 

・君の笑い声色なき風の中

 

・暗色の夢を裂きたる秋の雷

 

最近、思うのだけれど、だんだん俳句の基礎力のようなものが衰えてないかい、と。

上達するどころか下手になっている気がする。いや、いくつかよさげなのもあるんだけれど。悪いやつのひどさよ。

 

個人的に先月のMVPは「真っ黒から三日月を切り取っただけ」かな。散文調が過ぎるが。俳句が韻文詩であることを考慮すれば、あまりよろしくない作だが、それ以上に描く情報が割と響いている、気がする。

 

「殺人を仄めかしける秋の月」も好きだね。いや……まあ、そうだね。いくつか良いのもあるんだけどねえ。

 

「腕時計ピコと鳴きけり秋の朝」、これわりと良いよ。何が良いかわからないっしょ? 腕時計の音が鳴るのはボタンを押した時なんだよ。つまり秋の夜長に何か作業をしていて、その途中で突っ伏して寝てしまい、朝になって何かの拍子にボタンを押してピコと鳴ったので目覚めたって句なわけ。意外と情報量多いでしょ。

 

俳句ってのは語の外の情景を感じられなければ楽しめない高等な娯楽なのですよ。難しい。私もまだ理解しているとは言い難いんだけど。

 

捻れども下五で詰まる秋の夜                     秋雷

 

これ下手だね。秋の夜のおざなりにくっつけてみた感。まあ秋の夜ってめちゃ便利な語だけどねえ。

 

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