石油

一般的に言われているところでは、化石燃料だという。

 

私の幼少のころなどは、「今のまま使い続けると2050年には尽きる」だとか言われて、恐ろしい気分になった記憶がある。しかし今では当分は尽きる様子はないという。

 

そもそも1970年代のオイルショック時に、あと35年で尽きるとか言われてたそうな。尽きる尽きる詐欺である。

 

そもそも化石燃料じゃないという説がある。無機成因論とか言われているものだ。この説では、石油はマントルからでてくる炭素を由来とするそうな。生物の死骸が存在しえない超深度の地層から油田が発見された例もあり、あながちトンデモ論ではない。というかもしかするとマジでこれかもしれない。その場合だと無尽蔵に存在し得るのだとか。

 

まあ新説だろうが旧説だろうが鵜呑みせずに話半分に聞いておくべきだろう。

 

 

21世紀にもなって未だに油燃やしてエネルギーを得ている現実に、夢がないなぁと思う。ただ、個人的に再生可能エネルギーと呼ばれるカテゴリーには信頼性が薄く、それだけに頼るというのが先進国家のありようだとは思えぬ。天候一つでエネルギー量が上下するというのは、あまりに安定供給からは程遠い。

 

原子力エネルギーも、そういう意味で言えば悪くなかった。事故さえ起らなければ。新たなエネルギーとして期待されてはいたが……今では邪悪の権化のごとく語られている。これについてはまた今度書く。

 

やはり注目すべきは核融合発電である。「核」と名がついているので忌まわしい印象を持つ者もいるかもしれないが、核分裂で発電する原子力発電と核融合発電では「カモ」と「カモノハシ」くらいの差がある。まず炉心融解(メルトダウン)が“絶対に”起きない。こう言うと気の短い人に「絶対なんてありえない」なんて言われて怒られそうだが、まあでも絶対に起きない。だって核融合炉には炉心が存在しないのだから。仮に融解したくとも融解する炉心がない。

 

あとやっぱり私と言えば生物学的アプローチが気になる人種である。既存のバイオ燃料はむしろ穀類がもったいないと思うが、ボツリオコッカスだとかオーランチオキトリウムだとかオレオモナス・サガラネンシスなどの油を生成する藻類・菌類を利用したアプローチには未来感を感じる。何故かこの分野は日本で研究が盛んだ。油がとれない国の宿命であろうか。それにしても微生物の中には人類を救うためにそんな奇妙な特性をしているのかと思いたくなるような種があるのが面白い。むろんその逆も多いので一概には言えないが。

 

脱線しすぎた。石油の話だった。

 

個人的に化石燃料という語はロマンがあって好きではあるが。かつて生物の死骸が圧縮されて時間の経過によって燃料になる。ガソリンスタンドで給油する都度、「何物かの死」を車に注いでいる気になる。面白い。

 

虎は死して皮を残すというが、死して化石燃料になるというのもまた一興である。灰になってもろくに役に立たずツボに収納されて石の下で眠るだけ。であればガソリンになって燃やされ車を動かして、あとは温室効果ガスになって地球を暖めるという死後も面白いと思わないだろうか?

 

 

なぜ石油の話をいきなりしはじめたのか。なんとなくである。

 

点々と藤の色が林にかかる               秋雷