作句について。
バナシさんのブログで共生舎俳句部が紹介されてたので部長としても記事を書く。そう、共生舎俳句部の部長は私なのだ。
共生舎で俳句を最も詠んでいるのは私だ。作った俳句はすでに100句を超えた。ただし95%はゴミだ。
今回は雷の句なのでそれについて詠む行程を述べていきたい。個人的作句法である。
まず準備するのは筆記具と歳時記、国語辞典。歳時記と国語辞典は電子辞書に入っているのでそれでいい。このスマホ時代に電子辞書? ってよく言われるけど、電子辞書の便利さは使い込んではじめてわかるもんだ。文章書きには必携の品だと思う。
雷について詠もうと思った場合、雷に関する季語を洗いざらいしてみるのが常である。ここで歳時記をどれだけ読み込むかは本当に重要である。まあ私も自分の好きな項しか読んでないけどさ。
「神鳴」「いかずち」「はたた神」「鳴神」「雷(らい)」「遠雷」「落雷」「雷鳴」「雷声」「雷響」「雷霆」「軽雷」「日雷」「雷雨」
あと、稲光に関しての季語もある。何気に雷は夏の季語なのに稲光は秋の季語なのは面白い。
「稲妻」「稲光」「稲の殿」「稲の妻」「稲つるみ」「いなつるび」「いなたま」
歳時記に載っているのはこんなものだったが、他にも雷の語が無いか国語辞典で探してみる。
「雷撃」「雷鼓」「雷光」「雷公」「雷車」「雷獣」「雷神」「雷震」「雷電」「雷難」「雷様」「轟雷」「疾雷」「迅雷」「天雷」「百雷」「風雷」「暴雷」「奔雷」「万雷」「夕雷」「咆雷」「殷雷」「霹靂」「震霆」
パッと探してみただけでも、なんか想像以上にいっぱいあった。
まー、でもこんだけいっぱいあっても俳句で実際に使うのは数限られているだろう。歳時記に載ってる奴だけで充分である説もある。
ちなみに自分の俳号が「秋雷」であるが、これもまた季語。秋の雷のこと。恵みの雷雨であり、割といい意味。
さて、ここでまた考えないといけない事は、一物の句を詠むか二物の句を詠むかである。
一物の句はその名の通り一つの物について述べた句で、二物の句は二つの物を述べた句。初心者は一物の句を詠みがちであるが、実は手軽なのは二物の方。
G先生なんかは二物俳句を絶妙に作りなさる。自分は苦手だけどね……
てなわけで、一物二物どっちも作ってみよう。
雷の降る様子を鮮明に思い浮かべてみる。
閃光。少し遅れて雷音。それが近ければびりびりと空気を振動させ、耳と言うより肌で音を感じるような印象。力強い。なんとなくテンションが上がる。
雷でテンションが上がる子なので雷好きなのだが、実はそれであるが故にさんざん詠んでしまったあとだ。もうネタが少ない。
山奥は雷が連続で降る。バンバン落ちてきて楽しい。
これを百雷とか万雷とか言ってしまってもいいけど、あえて分解してみる。
雷百個重ね
雷を百個重ねて落としているようなもんだ、と。あともう少し想像力を膨らませる必要があろう。
雷百個重ね世界を滅ぼさん 秋雷
男の子俳句。厨二。まあ世界を滅ぼそうと神様が大量の雷を落としてるようだ、という猛雷を詠んだ句。割と嫌いじゃない。
二物はまあそんなに深く考える必要性はない。雷の季語に適当な切れ字をくっつけて、あと雷とは一見関係なさそうなことを書けばいい。
落雷や床を駆けゆく箸一本 秋雷
字あまり。ちょっと弱いけどまあいい。「や」が切れ字なので、「落雷や/床を駆けぬく箸一本」というように意味が切れる。後部「床を駆けぬく箸一本」はそのまま床を箸が転がっていくことを、擬人法で表している。そこに季語「落雷や」。落雷で驚いて箸を落としてしまった。という句として見るのが普通。でもここは「駆けゆく」と擬人法を用いているので、驚いたのは人ではなく箸の方であると言える。箸が驚いて、逃げ出そうとして、床を必死に駆けて行ってしまった。みたいに。ちょっとユーモラス。そこそこいいね。
なかなか難しいなー。最近俳句すらスランプ気味なん。よくないね。
一句置いて終わっておこう。苦手な二物の句を。
遠雷や貴女を殺す夢を見た 秋雷
ちょっとドキリとする句。いいですね。厨二感あって。もう魂に染みついてますからね。しょうがないですね。